田宮俊作の文章から

田宮模型の仕事』より

 

 今回のミニ四駆ブームで私が学んだことがひとつあります。いまの子どもたちは工作のために工具を使う、といった機会がまったくといっていいほどなくなってしまいました。ナイフで鉛筆を削ることも、板に釘を打ちつけることも経験しないまま、大人になってしまうのが最近の世の中です。ところが誤解してはいけないのは、子どもたちはそういったことが嫌いではないということです。ミニ四駆の会場で目を輝かせながら、さまざまな工具を使ってキットを改造している子どもたちの姿を私は忘れることができません。工具を使って、自分の手で何かを作り上げていく、そういった機会を大人たちが奪ってきたのではないでしょうか。

 

 

田宮俊作『田宮模型の仕事』(文藝春秋、2000年)308ページ。 

 

 

 

 

田宮模型の仕事 (文春文庫)

田宮模型の仕事 (文春文庫)