近正宏光の文章から

『コメの嘘と真実 新規就農者が見た、とんでもない世界!』より

 

「日本の食料自給率が下がってしまう」

 この主張は農林水産省が発表した「食料自給率39%(平成23年度)」という数値が拠り所となっています。

 そもそも、食料自給率の算出法には「カロリーベース」と「生産額ベース」があり、世界の主流は生産額ベースによるものです。

 しかしなぜか日本だけは世界的にも珍しいカロリーベースの算出法を公式に採用しています。

 ご存じの方も多いと思いますが、一応ここでカロリーベースと生産額ベースの違いを説明しておきましょう。

 カロリーベースとは「国民1人1日当たりの国内生産カロリー÷国民1人1日当たりの供給カロリー」で導き出されています。

 (中略)

 もう一方の生産額ベースは、食物の価格がキーになっています。国内で消費される額のどのくらいを国内で作っているか。それを「国内の食料総生産額÷国内で消費する食料の総生産額」で割り出しています。

 

 農水省が公式に発表しているのは前者のカロリーベースによるもので、先述したように日本の食料自給率は39%とされています。

 ところが生産額ベースでの食料自給率は66%にもなり、カロリーベースと比べるとかなりの開きがあります。

 牧畜の盛んなアメリア(ママ)やオーストラリアのように、高カロリーの農産物が多ければカロリーベースによる食料自給率が必然的に高くなります。

 ところが日本はアメリカやオーストラリアほど牧畜が盛んではありません。さらに肉牛や鶏卵にしても、輸入飼料によって生産されたものは自給とみなされないのです。野菜やコメの生産の多い日本の自給率をカロリーベースで見れば、どうしたって低くなってしまう理由がここにあります。

 

 

近正宏光『コメの嘘と真実 新規就農者が見た、とんでもない世界!』(角川マガジンズ、2013年)54~56ページ。